エリザベスドール・最終回-5
「ルーク、私と一緒に夢の世界へ行くのよ」
「夢の…世界?」
「そう。夢の世界へよ」
エリザベスのギラリとした鋭い眼差し。
手には包丁が握られている。
ルークの後頭部辺りでゆっくりと、包丁を振り上げるエリザベス。
警察による強行突入が決行されたのはこの時。
窓ガラスを突き破って、武装した警官たちが突入して来た。
更に玄関からも。
周りを見渡すエリザベス。
ルークはハッと我に返った。
「君ィ! 床に伏せろォッ!」
警官の1人に指示されるまま、ルークはサッと身を屈んだ。
激しい銃声が鳴り響く。
警官たちによる一斉発砲が始まったのだ。
銃撃を受けるエリザベス…
体中に弾丸を受け、みるみる蜂の巣状態になってゆく。
ルークは素早く隣りの寝室に避難した。
あれから、どのくらいの時間が経っただろう?
アースルとセデス聖導士(都合により神父を聖導士に変更します。→筆者)が室内に入って来た。
「会長」
ルークがやって来た。
「無事だったかルーク」
真っ先に声をかけたのは、セデスの方である。
「危うく、殺されるとこでした」
安堵のルーク。
ドッと疲れが出て、その場にへたり込んでしまう。
バーソロン邸は静かな雰囲気に包まれていた。
応接間の中央辺りに置かれた大きなテーブル。
その上に、奇妙な模様の赤い布がテーブル一杯に広げられている。
テーブルの四隅にはそれぞれキャンドルが置かれ、火が灯される。
黒いローブを着たセデス聖導士が1人、テーブルの前に置かれた椅子に腰を降ろした。
テーブルを囲むように、同じ黒衣装の4人の男がやって来て…
所定の場所に就いた。