エリザベスドール・最終回-3
「ルーク、愛してるわ」
「ハァ?」
エリザベスのいきなり言葉にルークは相手の顔を見つめた。
ニッコリと微笑むエリザベスは両手を広げた。
「私を、抱っこして」
「え、エリザベス…」
いきなり、抱っこしてとせがまれたけれど…
ルークは身構えた。
勘で分かる。
罠かもしれないって事がだ。
「抱っこして」
ジッと両手を上げたままのエリザベス。
「…」
ルークは頑なに拒む姿勢を取っている。
化け物人形め…
僕を誘惑しようなんて、その手には乗らない。
少しずつ後ずさりし始めるルーク。
エリザベスは歩調を合わせるかのように、ルークに近付いて行く。
「どうしたの? 抱っこしてちょうだい」
「悪いけどエリザベス。 僕は眠たいんだ、明日にしてくれないか?」
「抱っこして」
「だーかーら!」
「抱っこして!」
エリザベスはジッとルークを見つめる。
後ずさりし続けるルークはキッチンの片隅に追い詰められてしまった。
無線機から非常コールを鳴っているが…
ルークは応答キーを押す事さえも出来ない。
意を決して逃げようとすると…
エリザベスはルークに飛びかかった。
弾みで、ルークは冷蔵庫の所で尻餅を付いてしまう。
エリザベスはニヤリと微笑みながら、ルークの顔に自分の顔近付けた。
「逃げたってダーメ。
アナタは私から、離れられないんだから」
「どいてくれ!」
ルークはもう、冷や汗状態である。
「イヤよ私。抱っこしてあげるって言うまで、どかないわ」
「お前のような人殺しの化け物人形に好かれるなんて! まっぴらゴメンだ!」
「…」
エリザベスは鬼気迫る表情でルークの顔を見つめる。