エリザベスドール7-5
「頭は悪いのに、オッパイだけは立派なのネェ」
次の瞬間…
フレデリカの左胸辺りに真っ赤な鮮血が飛び散った。
激痛のあまり、フレデリカは叫び声を上げる。
エリザベスの片方の手には刃物が握られ…
もう片方の手には、乳首を摘まれて乳房がぶら下がっている。
「…!」
ディックは何も手が出せず、恐怖で震えるばかりである。
エリザベスはゆっくりと立ち上がった。
ベットリと返り血を浴びている。
フレデリカは目を剥いたまま激しく体を震わせていた。
刃物を床に放り投げたエリザベスはディックの方に振り向いた。
後退りするディック。
「アーハハハハハッ!」
エリザベスは高笑いしながら、切り取った乳房をディックの顔めがけて投げつけた。
乳房はディックの顔面に当たった後、床に転がり落ちた。
自分の女の、血まみれの無残な姿にディックは呆然となる。
恐怖におののいていたディックも、ここまで来ると心の底から怒りが込み上げて来た。
「このくそガキ…」
ディックは暖炉の火掻き棒を手にして、エリザベスに向かって振り回し始めた。
エリザベスは笑いながら、素早い身のこなしでディックからの反撃をかわす。
ディックの怒りは治まらない。
尚もエリザベスに襲いかかる。
…だが、エリザベスに簡単にかわされしまうだけである。
激しく動いたからか、息づかいが荒くなってしまう。
「て、テメェ!」
「大の男が、弱い者イジメするなんてカッコ悪いわネェ」
「化け物のくそガキが! このオレに指図する気かッ!?」
「誰が化け物のくそガキだって?」
カッと来たエリザベスはディックに飛び掛かろうとした。
…が、
執事のモレノが大扉を蹴り開けて入って来た。