Heaven knows.-9
「シュリ様、おめでとうございますー」
「シュリ様、おめでとうございますー」
それは、今までの物よりも格段に甘いそれを飲み下した瞬間だった。
プルプル震えていた姿が180度変化して、キャッキャとはしゃぎ始めた二人に目を丸くした私に、二人はそう言うなり可愛らしい手のひらをパチパチと叩いて拍手をした。
「何、何なの……?」
何がおめでたいのよ。
私は甘い香りにむせてしまいそうなのに。
そう怒りたいのに、甘い香りのせいで惚けたように二人を見つめて。……次第に火照り始めた体に異変を感じた。
最初の時以上に体が熱い。火照る、だなんてもんじゃない。
それこそ芯から熱くて、焼け付いてしまいそう。
「シュリ」
名前を呼ばれたのもわかった。
フワリと体が浮くような気もした。
「シュリ様ー」
「ミモリ様ー」
二人が私の――私と「ミモリ」の周りをクルクルと駆け回っている。
「我のシュリ、次に逢う時には我が姫に」
次までこれは預かっておこう、と、私の制服からハンカチを抜き取った。
熱くて堪らない。
何がおめでたいの?
我の、って、神様の?
……って、今聞きたいことは山ほどある。なのに、
「漸く迎えたのに名残惜しいが今日は一度お帰り、我のシュリ」
美麗な笑顔でそう言った「ミモリ」に唇を重ねられ――…再々度流し込まれた、むせるほどに甘い香りの液体に「熱で死ぬんじゃないか」って思ったけれど、その笑顔に見つめられながら私の意識はブラックアウトしていった……。