Heaven knows.-8
……ちょっと待って、「お社の主人」? いや、「主人'様'」?
ああ、もう。それはどっちでもいい。
お社は、私が見付けたあの裏山のアレだよね?
閂が掛かってたのが無くなってて、それでジャンケンで負けた私が近付いた、あの。
鮮やかな緑に囲まれた、あの時から不思議には思ってた。
「さっきまでくすんだ裏山だったような……?」って考えも一瞬浮かんだ。
……って、嘘でしょ?
「社」って、神社でしょ?
小さくて古ぼけた社でも社には違いが無いわけで。
「あなたは、神様なの……?」
神職、という言葉はその時閃きもしなかった。余りの美しさに、それしか浮かばなかった。
「エン、シャク、余計な言葉は慎むように」
「申し訳ありませんー」
「以後気をつけますー」
質問をした私に、ふ、と微笑んで、私にしがみ付く二人にも笑顔でそう言って――…たんだけど、二人は「キャー」と騒ぎながら私にガッシリとしがみ付きプルプルと震えていた。
……神様、何してんの!?
笑顔でこども達を怯えさす「ミモリ」に、私も一瞬小さく震えた。
「シュリ、」
そんな私をクスリと笑って、
「我の杯を」
持ったままの杯を飲むように、と「ミモリ」は私の肩を抱いたまま耳元で囁いた――。