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Heaven knows.
【ファンタジー 恋愛小説】

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Heaven knows.-4

「もう一度尋ねよう、…名は」

 社にめり込んじゃうんじゃないの?ってくらい近く。そのくらいの距離で、私は背後から「ミモリ」に抱え込まれるようにして名前を聞かれていた。

「……」

これって、変質者? 私がうっかり名前を零しちゃったら命が狙われちゃったりとか?

 冷静になれたのはさっきの一瞬だけで、今の私は「ヤバイんじゃないの!?」って危険信号に全身を支配されちゃってる。

「ミモリ様ー」
「姫様は怯えておいでですー」

 私が心の中で何度「ヤバイ」を唱えた頃だろうか…。一向に口を開こうとしない私の傍で、再び二人のこどもがクルクルと駆け回り始める。

「何?怯えて…?……そうか、なら先ずは我の社に招待しなければな」

 ふ、と耳元で笑った「ミモリ」の声に体の芯からゾクリと震え、鳥肌が立つ。
 そんなチキンな私にはお構い無く後ろから伸びてきた「ミモリ」の腕が私の体の前に回され、抱き締められるような形で押し付けられるほど引っ付いていた社から少し離された。

「よいお考えですー」
「酒宴のご用意をー」

 「ミモリ」の言葉にキャッキャとはしゃぎ始めた二人のこども達が私と社との隙間から中へと吸い込まれる様にして入っていったのを見た瞬間、私は余りの衝撃に今までの価値観と世界がぐにゃりと曲がってしまったかのような錯覚に、意識を失った――。


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