Heaven knows.-15
珠理が居なくなった。
それは誘拐でも何でもない。
―みんなごめんね。私はミモリと居たいの。
…ただ、焦がれる深守の傍に居るだけ。
ねえ、ミモリ。お社なのに閂がされていたのはどうして?
我の姫が現われるのを待つため、ということだな。
それって、私?
閂が外れたのだからな。
それって凄いね!……って、いつから待っていたの!?
ふ、シュリは聞きたがりだな。
……教えてくれないの?
何でも話そう、我がシュリ。そして移りゆく季節を二人で過ごそう。春には社の外で花見、夏には星を見て、秋には月見も良いな。
あれ?冬は?
寒いからな、エンもシャクも出たがらぬ。
ふふ。かわいいー。
……シュリ、我と契りを。
木々の鮮やかな緑が、穏やかな風に揺れながら辺りを包んでいた。
[終]