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Heaven knows.
【ファンタジー 恋愛小説】

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Heaven knows.-11

 あれから、あの不思議な体験から半年経ち……卒業の日を迎えた。桜の舞うほどには暖かくなく、未だ冬の名残が濃い季節で、裏庭から見る山の木々は、未だ冬の出で立ち。
 私は式が終わり、友達のみんなともひとしきり泣き合った後で裏庭にやってきていた。

 あの日から私は「ミモリ」を忘れる事が出来なかった。

 とてつもなく煌びやかで美麗で、圧倒的に美しい姿を。
 飲み下す毎に焦燥感を覚え、体を熱く火照らせる、甘く香るあの液体を。
 クルクルはしゃぐ、二人のこども達を。

 今までにも時折裏山に行こうかと思ったりしていたのだけれど、どうしたものか、タイミング悪く呼び出しや行事等で行くことが出来なくて、ついにこの日を迎えてしまったのだ。

「……あった」

 裏山へ入り、歩いていくとあの日と同じお社があった。
 今度は始めから閂は見当たらず、私は暫く遠目にお社を眺めてあの日の鮮やかな緑を思い浮べる。

 あんなに鮮やかな緑を見たのはあの日が初めてだったな、とか、この山は春になったらあんなに綺麗に色付くのかな、とか。緑に全く興味の無かった自分に苦笑しながら私は目を閉じた。


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