Ｙ先生の乙女な不安-8
「ハル…。」
「俺の点数そんなやばかった？！」
「違う…ハルはすごく頑張ったよ。」
「じゃあなんで…。」
私を困惑した表情で見つめる。
またこうしてハルを近くに感じられることが、自分でも驚く程嬉しかった。
「ハル…。」
目が合うだけで涙腺が緩んでしまう。
「…っハル…ハ、ル…。」
私が子供の様に泣きながら名前を呼ぶと、ハルは私の頬にそっと触れた。
「…どうしたの？」
その低く優しい声が私の中に染み入り、骨張った手が深い安堵に浸らせてくれる。
「ハル…私のこと、好き？」
使い古しの単純でくだらないセリフは、私が最もハルに聞きたかったこと。
ハルははにかむように笑って、触れるだけのキスをした。
「…すっげえ好き。」
「っや…。」
耳元で囁かれて、つい身をよじる。
「でも、私全然、おばさんだし。」
「どっこが。つーか俺より子供みたいじゃん。」
「なっ…。」
ハルの言葉でついむくれてしまい、子供みたいだ、と笑った。
「…それに、私素直じゃないし。可愛くない。」
「そう？」
ハルの指が私の首筋をなぞる。
「ん…な、に…？」
「ちゃぁんと素直に反応してるよ？」
「違っ…そういう意味じゃなくて！」
ハルは、恥ずかしさでムキになる私をニヤニヤ笑いながら眺めている。
絶対面白がってる！
「つーかさぁ、そんなことがいちいち気になっちゃうくらい俺のこと好きなんだ？」
「何言って…。」
「いやー由希ちゃんの愛が眩しいなぁ。愛されてるって罪ぃ。」
いつもの調子でへらへらと笑うハルに言い返そうと口を開いたが、私はすぐそこまで出かかった憎まれ口を押し込んだ。
たまには、素直にならなきゃ。
言わなきゃ伝わんないよね。