SEXの条件・学級委員長 川崎静奈 B-1
重なり合う唇と唇の間から、切なげな吐息が漏れている。
それが私のものなのかヤマトのものなのかわからないくらい、すっかり頭に血が上ってしまっていた。
とけ始めたソフトクリームを夢中で舐める子供のように、私の口の中を何度もなぞりあげるヤマトの舌。
淫靡な魔法のようなその動きに、私のカラダもクリームそのものみたいになって内側からトロトロにとろけていく。
いつも私とヤマトの間にあったたくさんの憎まれ口や軽口は、互いの唇の中に全部封じ込められてしまったような気がした。
懸命に何かを確かめようとするように、何度も角度を変えてヤマトが重なってくる。
上手なキスのやり方なんて知らないけれど、いつの間にか私も夢中で舌を動かしていた。
嘘みたい―――。
私、ホントにヤマトと
キス―――してるの?
狂おしいほどの喜びがこみ上げてきて、私はヤマトのシャツをギュッと握りしめた。
初めて密着するヤマトの身体は、太陽みたいな匂いがした。
グラウンドの土埃と、男の子の汗が入り混じったような乾いた匂い―――。
決してオシャレな匂いとは言えないけれど、変な香水をつけてるよりも、よほど清潔な感じがしてヤマトらしい。
ヤマト……。
どうしようもなく
馬鹿みたいに
アンタのことが――好き。
「……しず……」
ヤマトが私の耳元で囁く。
それは今まで聞いたことがないような甘く切ない声――。
「……うち……来ぇへん?」
女慣れしてるはずのヤマトの、少し照れたような口調に胸がきゅんとときめく。
その言葉の意味を考えるだけで、身体がじわっと濡れるのを感じた。
私って…こんなエッチな女だったんだ。
「――いいよ……別に」
出来るだけ慣れてるふうを装うために、わさわざ「別に」という言葉を付け足した。