彼女達からの10のお願い-3
「…これ」
「アメリカの、アルツハイマー患って亡くなった人の遺品整理してたら、机から出てきたんだって」
自分だけが辛いんだと思っていた。
なんでこんな事をと。
それは皆同じ事なんだ。私もアルツハイマーの人も。
気付くのが遅い自分が、恥ずかしかった。
「すみません、私の子供見ませんでしたか?」
「見てないですが、どんなお子さんなんですか?相原さんに似てるんですか?」
「いいえぇ。どちらかというと旦那に似てるって言われるの。私はね、私にも似てると思うんだけど」
「へぇ、どこら辺が一番相原さんにそっくりですか?」
「んー…そうねぇ…。…やっぱり私には似てないみたいだわ」
「そうなんですか?諦めずに探してみましょうよ。目元とか口元とか」
「んー……。あ!そうだわ!睫毛が似てるのよ!ほら、私の端だけ巻きが入ってるでしょう?あの子の睫毛もくるんと巻きが入ってるのよ」
「睫毛ですか(笑)それはだいぶよーく見ないとわかんないですね」
「あはは、もっと似てるとこあったら良かったんだけど、ごめんね。ありがとう」
少女のように笑う相原さんの笑顔が眩しくて。
涙が溢れた。