エリザベスドール5-6
「キャサリン! どうしたッ!?」
「!?」
エリザベスはサッと顔を上げると、ジョナサンと目が合った。
目の前の怪しげな人物にジョナサンは仰天!
エリザベスは慌てて窓ガラスを突破って外へ飛び出して行った。
ジョナサンが急いで外に出てみると…
エリザベスが遠くの方へ全速力で走り去って行くのが見えた。
ジョナサンは我が目を疑っていた。
人形が動くのを目の前でハッキリと見たからだ。
しばし呆然と見ていたジョナサンだが、直ぐに我に返った。
キャサリンは!?
キャサリンの様子を見てみる。
慌てて娘の側に駆け寄るジョナサン。
キャサリンは仰向けのまま意識を失っていた
翌日…、
ルークは学校が終わるとシェリーと一緒にロバーツ家の自宅を訪れた。
ルークにとっては初めての自宅訪問。
だけど、深刻な事態になっているだけに気分が冴えない。
(こんな事態で、ガールフレンドの家を訪れる事になるなんて…)
─キャサリンが昨夜、自宅で強姦に襲われ、ショックで気を失っている─
シェリーがクラス担任から聞いた話しだ。
2人が邸宅を訪れてみると、キャサリンはリビングのソファに座っていた。
少しやつれた様子で、顔はうつむき加減。
ジッと、視線を一点の方向に向けたままである。
何度も話しかけても無反応だとジョナサンは説明する。
深刻な表情を見せるルーク。
「彼女はいつから、こんな状態に!?」
「今日の昼ぐらいからかな? それまでずっと、気を失っていたんだけどね。今じゃあ見ての通り、食事さえも殆とんど取らず…ずっと、こんな状態なんだ」
「っで、犯人はどんな人物だったんですか?」
ジョナサンが答えようとした時、警察が来た。
「やあ、ルーク。来てたのか?」
何とモリス警部である。
「モリス警部さん、犯人は捕まったんでしょうか?」
「まだだよ。丁度、良かった。君に聞きたい事があるんだ」
この後、ルークは別室で1人、事情聴取を受け始めた。