エリザベスドール5-2
「見つけた。キャサリン・ロバーツの自宅だわ」
初めてバーソロン邸を訪れたルーク。
アースルに嘘を付いていた事を詫び、今までの出来事を全て話した。
アースルが注目しているのは、人形に関する不思議な現象である。
ルークが詳しく説明する。
「電話でお話したように、あの人形は自分で動き自分の口で喋るんです。 しかも、生身の人間と同じように感情を持っています」
「ただの作りモノの人形が…、信じられない。
今まで、そんな不思議な現象が起きるなんて考えも付かなかったよ」
「正直言って、僕も今でも信じられない気持ちですよ。何故、人形が動くのか、不思議で」
ルークの話しを聞いていた1人の髪の長い中年の男が、物静かな口調で語り始めた。
「お嬢様ですな」
「え?」
2人の視線が神父に向いた。
「ジーナ様の霊が人形に憑依しているのです」
アースルが男に質問する。
「何故、ジーナが人形に憑依しているんだセデス神父?」
「恐らく、大切になさっておられた人形を、御自分でお守りするつもりだからでしょう」
「自分で守ろうとしている?」
「大切になさっていた人形が行方不明になり…
骨董屋に売られてしまったとなれば、お嬢様も我慢出来ないハズです」
流石は霊感の強いセデス神父。
エリザベスが動く理由を即座に察知した。
アースルもルークも、十分理解出来たようだ。
「なるほど」
ココでルークに疑問が湧いた。
「人形は何故、僕を慕うんでしょうか? 僕に近づき、僕を恋人扱いする」
アースルが答える。
「君が人形を大切にしてくれたからだよ。ジーナは感謝の思いから、段々と君を愛する気持ちへと変わっていったと…
私はそう、見るね」
旦那様の仰せの通りですと、神父は頷く。
「それで僕に…」
アースルや神父の話しを聞いて、ルークは真相を理解した。
アースルからの質問に、神父は今後の予想展開を語った。