無味『偽』燥-7
昼休みの地雷火父高校(じらいかじこうこう)の食堂。そこに『お騒がせ三人組』と呼ばれる三人組が今日も集まっていた。
『talk〜賽は投げられた〜』
「なあなあ、『賽は投げられた』って言葉、知ってるか?」
「知ってる。ジュリアス・シーザーの言葉だっけ?」
「……誰?」
「ユリウス・カエサルの言葉だぞ?」
「同じ人だよ! 読み方の違い!」
「……その人誰?」
「あ、そうなんだ」
「で、『賽は投げられた』がどうしたんだよ?」
「……それどういう意味?」
「そうそう。『賽は投げられた』の賽って、スプーンっていう意味なんだってよ!」
「なぜ?」
「……スプーン?」
「そう。スプーンが大事な役割をしてた、ってことだな。うん」
「賽はサイコロって意味だぞ?」
「……なんでスプーン?」
「え? そうなの?」
「敵と戦うときに、『スプーンは投げられた』! 何て言うか?!」
「……スプーンは大事」
「ほらぁ。こいつはわかってるじゃん! ちょうどカレーを喰ってるときに言ったかもしれないじゃん。んで、そこにスプーンがあったから、スプーンでいっか、みたいな」
「馬に乗ってるときに言ったんだぞ?」
「……馬に乗っているときカレーは食えない」
「ん〜、じゃあグラタンでいいや」
「いいや、ってなに?」
「……さあ」
「その意味なんだけど」
「無かったことにしたよ。こいつ」
「……流した」
「確か『一度始めた以上戻れない』って意味だろ?」
「そうそう」
「……『覆水盆に返らず』と一緒」
「そうそう、『覆水なんとか』と一緒!」
「違うわ! 惜しいけど違うわ!」
「……違うの?」
End