無味『偽』燥-6
「僕は速夜和幸(そくやかずゆき)。よろしくね、『ヨッシー』」
「そうか、カズユキか。それより、オレに飯を食わせてくれないか? 腹が減って、背中と腹がくっつきそうだ」
「いつも何を食べてるの?」
かなり疑問に思っていた。普通の犬ならば、ドックフードで十分だと思う。でも、普通の犬と勝手が違う。この犬は喋る犬なのだ。すんなりドックフードでオッケー! など言わないだろう。いや、言ってくれないと勝手に想像していた。
「日本人はご飯と味噌汁と漬物に決まってるだろう! それにそうだな。メシを喰ったあとは、適当なつまみと熱燗で晩酌出来れば最高だな」
「人じゃないじゃん! しかも、『ヨッシー』熱燗飲むの?!」
「飲むぞ! 常識だろう、カズユキ。早く連れてけ!」
「……。はあ、わかったよ」
あまりの強引さに僕は、ため息をついた。『ヨッシー』を家へと連れていくことにしたのだ。
――いくらブルドック好きとはいえ、変なブルドック拾っちゃったなぁ。
心の中で少々の後悔の念と心配の気持ちが入り交じりつつ、僕は帰路に着いた。
To Be continued?