ラブホーム-1
はぁ?知らねーわよ。
「だからぁ、アタシ食べたことないって」
「あぁ〜どうしよ。海鮮リゾットとシーフードパスタどっちにしよう」
どっちでもいいよ。突き詰めればどっちもデンプンだし、大差無いよ。
「あんた、米好きじゃん」
白米で白米食えるぐらい好きじゃん。
「お前、俺パスタも大好きだぞ」
知ったこっちゃねーわよ。あえてグラタンとかにすりゃいいじゃん。
とりあえずアタシとあっくの頼ませてよ。
「悪いけど早くして?こっちは腹減って死にそうなんだから」
空腹の限界を越えてんだよ。ピリオドの向こう側に行きそうなの。
向こう側行ったらもう還ってこれないんだかんね。
ファミレスが最後の晩餐だなんてとんだお笑い草だぜ。
「あー…っよし。決めた。コーンピザ」
海鮮でもシーフードでも米でもパスタでも無い物キター。
「ピザなの?」
「お前、俺ピザも大好きだぞ」
ことごとく知らねーわよ。
「あ、そう。…すいませーん!…えと」
ああ、お腹空いた。
自分が何言ってんのか分からないぐらいお腹空いた。
「…で、お願いします」
「あ、あと生ビール」
なに?飲むのか。飲んでしまうのか。
アタシも酒好きだと知っていて、それでも飲むのか?
「帰り運転頼むな」
「うん」
当たり前じゃん。
それしか道は無いじゃん。
それ前提じゃなきゃ何前提ですか?代行ですか?車で6分のファミレスにわざわざ友達とか呼んじゃいますか?
「あ、お前とあっくの髪ゴムお揃いじゃねぇ?」
お、やっと気付いたか。
「そうなんだぁ。シュシュ可愛いでしょ」
「おぉ、あっく可愛いな。エライ可愛いな。あっくー、オバQみたいで似合うぞー」
はい?誉めてんの?けなしてんの?
オバQより遥かに髪あるしね。女の子だし頭良いし美少女だから、どちらかと言えばP子だしね。
ていうか、そもそも例えが低次元過ぎる。
「アタシは?似合う?」
「あ?普通。無くてもいいんじゃね?」
…死、あるのみ。