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ラブベイビー
【コメディ 恋愛小説】

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ラブホーム-2

「ていっ、ていっ」

「痛っ!痛っ!何すんだよ!」

「ネコパンチ。ていっ、ていっ」

手首のスナップを利かせて打つべし、打つべし。

「滅すっ」

「無理だろ、ネコパンチごときじゃ人一人も滅せねぇよ」

クソバカ。クソバカ。

「30分後、あんたはその言葉を後悔することになる」

「アホか。お前ネコパンチで人を滅せてたらなぁ、その力で国家築けんぞ」

意味分かんないんだよ、あんたの例えは。

「築いてやるもんね」

「痛っ!痛いって、いい加減にしろよ」

いい加減にするのはあんただよ。
アタシこないだ、旅行に誘われたの。友達みんなで温泉行くんだって。
アタシ行ける訳無いのに、みんな気ぃ使って誘ってくれたの。
行きたかったけどさ、我慢したんだよ。
アタシはさ、早く結婚した…訳じゃないし、早くに子供産んだ…訳でもないけど、周りの子みたいに遊びたいんだよ。
でも、それは無理だってことぐらい分かってる。それを承知で結婚したし…。
けどね、それならせめてあんたに『可愛い』って思ってて欲しいんだよ…。
母親になっても、やっぱり可愛いって思われたいんだよ。
あっくと一緒に可愛いカッコするのが夢だったのに…あんた…踏みにじりやがって!

「死あるのみ!死あるのみ!」

「な、なんだよ?痛ぇって!ほら、飯来たぞ」

チッ…救われたな。
ご飯を持ってきてくれたのは四十代半ばぐらいの人の良さそうなおばさんだった。
おばさんがちらりとあっくを見ると、あっくは誰しもが見とれるぐらいの愛らしい笑顔で笑った。
まさに天使。まさにアイドル。産まれた時からあっくは誰かと目が合うとニコーッと笑う術を身に付けている。
そして、おばさんは私に向かって一言。

『まぁー、可愛いですねぇ』

知ってます。見た人必ずそれ言います。
でも何回聞いてもいい気分すわー。

「ありがとうございます〜♪」

『旦那さんもこんな可愛い子が家族なんて幸せでしょお』

ほら、あんたもありがとうって言いなさい。

「あ、はい。ウチの嫁、すっげぇカワイイっすから」

……な、なんとっ!
なんだその誇らしげな顔は。あんた、勘違いしてんだぞ?あんた、今すっごい恥ずかしいんだぞ?
だからなんだ、その言ってやった!みたいな顔は。
ほらぁー、おばさん笑いながら行っちゃったじゃんかー…。


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