エリザベスドール4-1
サッと振り返ったルーク。
が!
「いない!」
椅子に置いていたハズの人形がないのだ。
探そうと辺りを見回し始めた時だ!
いつの間にか、自分の傍に立っているエリザベスと目が合った!
目を剥いて、ルークは思わず後ずさり。
エリザベスはゆっくりと、ルークに歩み寄って来る。
「人形が喋っては、悪いかしら?」
まばたきをし、口を動かすエリザベス。
生きているみたいに顔の表情が動いている。
「お前、誰だ?」
「私はエリザベス。アナタの恋人でしょう?」
「恋人って! 化け物人形に、恋人扱いされる筋合いはない!」
「化け物人形だなんて失礼ネェ。私は気品溢れるレディなのよ」
喋り口調や仕草が殆ど、キャサリンと同じ年頃の女の子そのものだ。
ウルトン高校のどこかのクラスの女の子と、会話しているような錯覚を覚えるけど…
相手はA骨董品屋で買った人形なのだ。
後ずさりするルークに対し、エリザベスは歩み寄って来る。
「僕をどうする気だ?」
「どうもしないわ。
アナタは既に、私のモノなんだから」
「僕にはちゃんとした恋人がいる」
「キャサリンってコでしょう?」
「知ってるんだったら」
「そのコがアナタを愛しているように、私だってアナタを愛しているの」
「何が言いたい?」
「ルークは私のモノ。
誰にも渡さない」
ドテーン!
ルークは床に落ちていた小物に足を引っ掛け、尻餅を付いてしまう。
すると…
エリザベスはルークに駆け寄って、胸の辺りで馬乗りになった。
「よせ、やめろッ!」
ルークは必死に抵抗するけど、エリザベスにガッチリ掴まれて身動きし辛い。
エリザベスはルークの胸ぐらを掴むと、顔を近づけて言った。