エリザベスドール4-4
雨の中、ジミーは街の郊外の薄暗いブロスの森にやって来た。
適当な場所にクルマを停める。
さっそく、ジミーは荷台に縛り付けていたロープを解くと…
人形を抱えて路肩の方へ歩み寄った。
「どこの馬鹿が作ったんだ、こんな人形!
薄気味悪いぜッ!!」
ジミーは吐き捨てるように言って、人形をガードレールの上から崖下に放り投げた。
「♪〜♪〜♪」
荷台を整理したジミーはクルマに乗り込み、缶コーヒーで一息付いた。
カーラジオからジミーの好きなラップの曲が流れている。
クルマを走らせようとした時、助手席側の窓に目を向けたジミーの背筋が凍り付いた!
窓の向こう側に、物凄い形相でこちらを睨むエリザベスの姿が!
エリザベスは両拳を振り上げると…
力を込めて、窓ガラス一気に叩き割った!
「薄気味悪い人形で悪かったわね!」
「!?」
目をカッと見開いたジミー!
雨の中でジミーの断末魔の叫び声が響く。
翌日の夕方、ルークはバイクでジミーを探していた。
「朝になってもアイツ、家に帰って来てないそうだ」
ニック先生からの知らせに、ルークはジミーの行方が気になったのだ。
ジミー本人は今日は学校には来ていない。
ケータイ掛けても通じないから、何だかイヤな予感がする。
アイツに何か!
高まる不安を押さえながら、ルークは手掛かりのありそうな場所を走り回った。
そして…、
州道8号線を進んだルークは、街郊外の深いブリスの森へと入った。
日もすっかり落ちて、辺りは暗い。
しかもこの界隈は、通るクルマの数も滅多にないから凄く静かである。
「?」
しばらく走ったルークの目に、路肩に停めてある1台の軽トラックの姿が飛び込んだ。
ナンバーの数字を見て息を呑む。ジミーのクルマだからだ。