エリザベスドール4-3
「じゃあ今から、お前のウチへ行って人形の様子を見てみようぜ」
ジミーは一緒にルークの自宅へやって来た。
人形は何事もなかったかのように、キッチンの木製チェアーの上に置かれてあった。
触っても、ピクリともしない。
体を揺すっても同じ。
ルークは首を傾げる。
「おかしいな」
頭を掻きながら、眉間にシワを寄せるルーク。
ジミーは腕組んだままジッと見つめている。
「どうだ?」
「うーん」
ジミーは人形の肩を叩きながら言った。
「よーく見ろよ。コイツは年代物の、ただの作り物だ。生き物なんかじゃない」
「でもさっき、動くところを見たんだ!
僕に抱きついて来て、唇を奪った!」
「錯覚だよ錯覚ゥッ!
人形ばかり夢中になって、錯覚起こすんだ!
しっかりしろよ!」
「しっかりしてるよ!
でも実際…」
「もうイイ、何も言うな! イイか!? 大体…こんな薄気味悪い人形を置いているのが、そもそもの間違いなんだ!
分かるか!?」
「分かるけど…。じゃあ、どうしたらイイ?」
「悪い事言わねえよ。
思い切って、処分してしまえよ」
「処分しろなんて…」
「なーに迷ってるゥ?」
「迷ってない」
「キャサリンと恋人同士になった事だし…
この際、人形に対する変な感情なんか捨てろ。 そうしないと、いつまでたっても悪い夢ばかり見てしまうぜ」
「…」
「しょうがねえな!
俺はもう、帰るから…ついでにコイツ、捨てて来てやるよ」
ジミーはそう言って、人形を自分の軽トラックに積んで帰った。
エリザベスが、いなくなった。
1人ポツンと残ったルークは大切なモノを失ったような淋しさを覚えながらも…
肩の荷が降りてホッとした気分に浸った。