“異聞" 老木との約束-8
§§§§§§
“・・・あ〜っ 慶次殿・・・もっともっと 欲しいっっ・・・"
( あわわ・・・もう、どうなってもしらないぞ。旦那ったら・・・ )
“ あううっっ!! "
( しかし・・・おまつ様も凄い乱れっぷりだな。
あれが貞淑で名高いおまつ様とは思えぬくらいだ・・・・)
桜の老木の根本で繰り広げられている激しい交情に、
捨丸は滝の側の藪の中からひやひやしつつも
内心はどきどきしながら その有り様を見つめていた。
いつしか2人の体位は逆転し、
地面の上で仰向けになる慶次の上で まつが上下に揺れ動き、
その乳房を巧みに愛撫されつつ
黒髪を振り乱して悶えに悶えていた。
まつをひっさらう形で松風と共に飛び出した慶次を追って 従者である捨丸も
慌ててその後を追ったのだが、
2人の姿を見失い探し回って この場所にたどり着いて 今に至るのである。
2人の間に以前から流れていたほのかな交流に気づいていた捨丸としては、
まつの立場というものに憂慮しつつも
慶次の激情に身を委ねている彼女を止めることもできないまま
ただただ眺めていることしかできなかった。
―――ザアアアア・・・・
耳許で滝が流れ落ちる音が響き、僅かに水しぶきも肌に感じる。
だが 今の捨丸には 全く気にならない。
遥か前方で繰り広げられている痴態を見守ることで精一杯なのだから。