アブノーマルな彼を好きなノーマルなあたし。-1
「ちょっと、あれ見てよ麗菜ちゃん!あの黒のジャケット着てる…」
「あの、ハットかぶったブーツの人ですか?」
「そうそう!あの人良くない?俺超タイプ」
「えぇ〜…、ちょっと細身過ぎません?あたしはもっと…ホラ、あのTシャツベストの人なんか良いと思うんですけど」
「そうかぁ?中途半端過ぎない?細くもなく太くもなく…」
「はぁ…(中途半端ねぇ…)。でも、吉沢さんと似てません?シルエットとか」
「俺は格好いい半端者だから」
「…(まぁその通りですけど!!)」
「うっわっ!!麗菜ちゃん、ストライク来たよ!!」
「え?どれです?」
「ほらほら、あれ!!」
「…吉沢さんて、マッチョ好きですね…」
「いいよね、筋肉って。なんか、男!!って感じで」
「でも細身もタイプなんですよね」
「中途半端が嫌いでね」
「…じゃあ、めっちゃ顔の格好いい横綱級のデブと、めっちゃ不細工な吉沢さんストライクのマッチョ、そこそこなガリガリ、付き合うとしたら誰を選びますか?」
「知ってる?力士の人って、あれ筋肉なんだよ」
「こっちは100%脂肪ですけど」
「…オーディエンスはある?」
「誰に聞くんですか?!」
「……うーん…」
「…(悩んでる悩んでる)」
「…格好いいデブだな」
「…マジですか」
「俺と付き合ったら、俺好みに仕上げる」
「…仕上げるって…」
あたし、藤原麗菜、24歳独身。ただいま最高級の男好き(←間違いじゃないよね?)、吉沢徹27歳に片想い中。
てゆーか!!
なんでその片想い中の男と男のタイプ語ってんのよあたし!!
普通に女友達と喋ってるみたいになっちゃったじゃないの!!
吉沢さんといると、いっつも吉沢さんのペースになっちゃうんだもん!!
…あれ?ところで…