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【純愛 恋愛小説】

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「…擦れる裾と心 また二人違う意図の会話 きっと前は合致 察知した互い長い気持ち 探し物は何だろうな 見付けにくい物だろうか 肩を並べ 手探りで歩く この道程 疑心暗鬼 会話 暗記 お決まりのやり取り 繰り返し 刷り直し 版を押した毎日 定型の感情 否定型の愛情 裁量で決める最良の選択肢 あれもこれも欲しい だけどどれもこれも届かない 欲の塊 広く浅く見境なんて無し 自己中心 一個頂戴 だけじゃ終わらない 止まらない 螺旋階段の猜疑心…………どうかな?」

「んー、まぁまぁ、かな?」

「まぁまぁかぁ。紅音(あかね)ちゃん、やっぱり厳しいなぁ」

「そう?でも一人くらい厳しい採点でもいいんじゃない?」

「まぁねぇ…」

「今回はトラックのわりに言葉数多くない?」

「んードラムのループも上モノのネタもシンプルだから、逆にラップはちょっと前のめり気味にしたんだけどさ」

「成る程ねぇ。ま、いいんじゃない?私はわりと好きよ」

「やはり厳しい…」



龍斗は大学に通う傍らヒップホップに没頭していて、“MC龍頭”の名で小さいながらもレーベルに所属してリリースもしている。

“龍斗 a.k.a MC龍頭”って感じで。



私とは高校の時からの馴染みで、親友。

新しく作品を仕上げた時とかは真っ先に聴かせてくれて、その善し悪しを聞かれる。

これは高校時代から続いているため、今では私もかなりヒップホップに対して耳が肥えてしまった。



龍斗はいわゆるラッパーでありながら、風貌は寧ろ販売員である彼の兄の影響でかモードっぽく、一見するとヒップホップの要素なんて感じられない。

その性格はいたって温厚で、寧ろいつも私の尻に敷かれている感じ。



しかし一度マイクを握り“MC龍頭”となると、途端に変貌する。

一気に男らしくなるというか、逞しくなる。



そのギャップが個人的にたまらなく、自主制作をしていた高校生の頃からひそかに想いは寄せていたのだが、龍斗はこの性格の為に私の気なんか知らず、気付けばここまで“親友”で来てしまった…。

自分から告白するなんて…恥ずかしいし…。


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