エリザベスドール3-1
ルークは罪悪感を抱きながら、申し訳なさそうな表情で事情を話す。
勿論…
コレは、ルークが咄嗟に思いついたウソ。
そうとは知らず、アースルは呆然としたまま耳を傾ける。
「犯人の手がかりは?」
アースルからの質問にルークはウソを重ねる。
「まだ…今のところは」とまあ、適当だ。
「何て事だ、人形が盗まれたとは」
アースルはがっくりと肩を落としてしまった。
ルークの方はウソを付いてしまって、ハラハラした気分になっている。
(コイツめ…)
ニック先生は怪訝な表情でルークの様子を見ていた。
ルークがウソを言ってる事ぐらい、顔の表情や態度を見れば分かる。
アースルは固い表情で迎えの車に乗り込んだ。
校長先生たちやルークが見送りに玄関まで出ている。
「もし何か分かったら、ココに連絡をよこすとイイ」
「は…ハイ」
ルークはアースルから名刺を受け取った。
アースルが後部席に乗り込むと、車は走り去って行く。
この後、ニック先生はルークを面談室に呼んで質問した。
「お前、そんなに人形は手放したくないのか?」
「え?」
「“え?”じゃない。
お前、あの方にウソを言ったろう?」
ゲッ!
ウソがバレた!?
「つ、付いてませんよ」
「イイかルーク?
あの方を騙せても、先生は騙されないからな」
「い、嫌だなァ先生!
僕を疑っているんですか?」
「当たり前だ。お前ってヤツは、何考えているか分からんし」
「だからって」
「お前の人形好きは理解してる。だけどな」
本当に人形は盗まれたんだって。
ルークは言葉を繰り返すように反論するが…
ニック先生は疑っている。
バレないよう、ルークは必死である。