エリザベスドール3-6
「小さい頃、近所に同じ年頃で…凄く意地悪な女の子たちがいたんだ。
僕はよく、彼女たちに馬鹿にされてね。
以来、生身の女の子には見向きもしなくなった。人形に興味持つようになったのは、親父が買ったアンティックドールを手にしたのがキッカケだったかな?」
「それ以来、人形にしか…興味を持たなくなったのね?」
「まあ、そんなところ」
「今も、そうなの?」
「今は違うよ」
「違うの?」
「君と出会ってから、気持ちが変わったんだ」
「どう、変わったの?」
「生身のフツーの女の子に興味を持つようになったんだ。自分で言うのも変だけど、少しはマシになったような気がする」
この後、キャサリンは帰宅の途に着いた。
「地下鉄の駅まで送るよ」と言って、ルークも家を出た。
エリザベスは部屋の窓のカーテンをめくって外を見た。
2人が手をつないで歩いて行く様子を怖い目でジッと見つめる。
それから2〜3日して、キャサリンとの様子を聞かされたジミーは上機嫌だった。
内気なルークが果たして…
キャサリンと上手くゆくのか心配だったのだ。
「何を言ってるの?
私たち恋人同士よ」
自慢するキャサリン。
「恋人同士って、オーバーだけど」
ルークの方は恥ずかしがっている。
「アラ、ホントの事じゃなーい!」と言って、キャサリンはルークの腕をグイッと掴む。
「イイね! 似合いのカップルだぜ!」
ジミーは嬉しさのあまり、親指を立てた。
ルークにとっては初めての恋…
初めて出会った恋人。
キャサリンへの思いが強くなった今…
ルークの心から1つの思いが消えつつあった。
なのに…