エリザベスドール3-5
「気付かなかったなァ、人形が怖い表情をしているなんて。僕には普段、穏やかな表情に見えるんだけどね」
しばしの人形談議の後、2人は寝室に入った。
(あの女…)
エリザベスは怒りに満ちた眼差しでキャサリンを見つめる。
椅子から降りて、寝室の開いているドア越しから中を覗き込むエリザベスの目に映ったのは…
ベッドで激しく愛を確かめ合うルークとキャサリンの裸体の姿である。
「ああ…ルーク! こんな気持ち…私…初めてよ! サイコーだわ!」
「僕もだよ!」
激しい2人。
エリザベスは2人のセックスを、怒りに震えながら見ている。
ルークの体に身を寄せているキャサリン。
「家族は、別居している兄と両親の3人。
父は貿易会社に努めてて、いつも忙しいの。
なかなか私と話す機会がないけど、父も凄くイイ人よ」
「君の将来の夢は?」
「デザイナーになりたいと思ってるわ」
「ファッション関係の方にかい?」
「まあ、そう言った分野かしら?」
「なれるとイイね」
「自信ないけど」
「君なら、出来ると思うよ。着ている洋服のセンスもイイし」
キャサリンの顔がほころんだ。
「ありがとう。そう言われると、凄く自信が付くわ。ところで…」
キャサリンは急に真面目な表情になって質問を続けた。
「ルークは…生身の女の子には興味ないって聞いたけど、本当なの?」
「それって、誰から聞いた?」
「ジミーやディックからよ。あの2人、すっごく…アナタの事を心配してたの。ルークは人形ばっかり目が向いて、生身の女の子には興味を持たなくなっている。
このまま放っておいたら、大人になっても生身の女性との恋をしなくなる男に成り下がってしまうんじゃないかって」
ルークはしんみりとした表情で答える。