エリザベスドール3-2
「先生…」
「ま、イイ。何か分かったら連絡しろよ」
ニック先生はそう、言い残して部屋を出た。
ルークはまだ、ドキドキしている。
しているけど、少し安心した気分にもなっていた。
人形を手放さなくて済んだのだから。
この夜、ルークはエリザベスの前で誓った。
「あの老紳士には悪いけど…、コイツは絶対に渡さない。エリザベスは…
僕の物だ」
ジッと人形を見つめるルーク。
席を外すと今度は…
エリザベスがジッとルークを見つめた。
或る土曜日…、
ルークはジミーから女の子を紹介される事になった。
でもルークの方は、女の子と会う気なんて毛頭無い。
それでもジミーは、ルークを女の子に会わせる気持ちは変わらない。
昼食を済ませ、ジミーはルークを中庭へと誘い始める。
「ジミー、僕は女の子に会う気なんてサラサラないよ」
ルークは消極的だが…
「まあまあ、そう言うなって! 一度会ってみろよ、きっとお前は気に入ると思うぜ!」
とまあ、ジミーの方はノリノリ気分。
ルークを半ば強引に中庭へと連れて行く。
女の子は、学校内の中庭にある噴水場に待たせてあるのだ。
芝生が敷き詰められ、ちょっとした公園のような中庭は昼休みとあって、大勢の生徒たちで賑わっている。
「どんなコ? 可愛いコだったりして」
「ああ、すっげえ可愛いコだぜ!」
待ち合わせの場所の噴水場に着いた。
あのコだよと、ジミーは前方を指差した。
噴水傍のベンチに女の子が1人、座っている。
その女の子にルークの目が釘付けとなった。
サラサラとした長い髪の可愛いコである。
「きゃさりーん!」
ジミーが呼ぶと、女の子はこちらに視線を向けた。
「ジミー!」
「お待たせ! ルークを連れて来たぜ!」
女の子は目を輝かせて立ち上がった。
「じゃあ、頑張れよ!」
ジミーはルークの肩をポンと叩いて、その場を離れた。