投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

【純愛 恋愛小説】

香の最初へ 香 2 香 4 香の最後へ

-3

「でさ、この前やっと欲しかったジャケット買えたんだよねー。ちょっと高かったんだけど。調度今着てるんだけど、どうかな?」

「えっ…あー…」



ダサっ…高校生かよ…。
義斗の店行って勉強してこい!

…とは言えず。



「えーっと、似合ってると思いますよ…」

「ほんと?良かったー。そういえば丁さんの元カレって、アパレルなんだっけ?」

「あぁ、はい……」



元カレ?
喧嘩したとは言ったけど…。
あれ…でも…別れたも同然なのかな…。



「やっぱり丁さんはさ、お洒落な男性が好きなの?」

「え…別に…そんなことないです…」

「そっかぁ。しかし元カレも馬鹿だよなぁ。丁さんみたいな美人、そうそういないのに」



イラッときた。
さっきから義斗のこと“元”って連発するし、馬鹿とか言うし…。
義斗はあんたみたいな馬鹿とは違う…。



と、その時。

夜になったら道端に出て来る露店の前をたまたま通った瞬間。



あの香りが漂ってきた。



義斗が一番好きだと言っていた、“MOON”の香り。



その露店はお香を格安で販売しているらしく、私は足を止めて見入ってしまった。



頭の中は、香りと連結された義斗との思い出で一杯…。



「丁さん?」

「あ…あの、すいません、急に用事思い出して…食事、行けません!失礼します!」

「えっ?あっ、ちょっと…!」



気付くと私は神谷さんを残して一目散に走り出し、いつの間にか義斗の部屋の前に来ていた。



チャイムを鳴らすかどうか迷っていたら…ドアが開いた。


香の最初へ 香 2 香 4 香の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前