超最強嫉妬彼女 前編-4
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当然のように、その日は学園中が美人転校生の話題で持ちきりだった。
どうやら俺達三年だけでなく、一年や二年の間でも盛り上がっているというんだから、結構すごいことだと思う。
さらに、噂ではもう本藤に告ったやつがいるとか。
皆、俺が唾をつける前に、なんて焦っているのだろう。
もちろん、今頃は本藤も俺のことを誰かから聞いているだろう。
学園史上最低最悪の遊び人。
だが、それさえも好都合。
本藤のことは可愛いと思うが、別に彼女にしたいわけじゃない。
俺はあの女を抱ければそれでいいのだから、そのためにも俺のことは少しでも早く知ってもらいたいくらいだ。
早く告ってこねえかな…
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本藤は、それからもたまに話しをかけてくる。
「ノート見せて」
「お前、俺が毎日ノートを書いているように見えるのか」
今日も声をかけられて振り返ると、本藤のその子犬みたいにつぶらな瞳に吸い込まれそうになる。
「見えない」
こいつは随分とぶっきらぼうだ。
そして馴れ馴れしい。
「なら言うな」
「むっ」
それだけ言って体を前に戻そうとすると、初対面のときのようにつつかれた。
「なんだよ、他の女に借りればいいだろう」
「公也の字が見たいから」
「は」
「見せてよ」
こんなこと言われるのは俺にとってもめずらしいので面を食らう。
「……」
「ねえったら…」
そう言った本藤は顔だけでなく耳まで真っ赤だ。
まさかこいつにとってはこんな変なことでも勇気を出して言ったことなのか?
だとしたら相当ウブな女だな。
見た目もそう派手な女には見えないが、そう遊んでいないのか。
それともまさかそれ以前に全く男を知らないのか。
後者ならおもしれえ。
結局、ノートは本藤の手に渡る。
そして俺の字を見ながら微笑んでいる本藤。
本当になんなんだこいつは。