超最強嫉妬彼女 前編-13
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下校中。
俺は今日も女をつかまえられずにだらだらと一人で帰り道を歩いていた。
途中、コンビニで時間を潰したから、辺りはもうすっかり暗くなっている。
しょうがねえ…キープしてた年上の女にでも連絡をとってみるか…
最近の苛立ちもあってか我慢の限界だった俺は、そんなことを考えながら携帯を開いた。
「ん」
人の気配がして、ふと河原に目がいく。
暗くてよくわからないが、少女が何かやっているみたいだ。
「……」
なんとなく気になった俺は、階段を下りて河原に出てみた。
「……本藤」
なんだか見覚えがあるなと思ったが、あれは本藤だ。
暗くてよく見えないが、あの長い髪と小さな体は本藤に間違いない。
そういやあいつもこの辺りに住んでるって言ってたな。
本藤はスポーツウェアを身に纏い、体を動かしていた。
気付いた瞬間ぞっとしたのであまり口に出したくないが、まあ正確に言うと、本藤はコンクリートの壁を蹴っていた。
ハイキックで。
「……見なかったことにしておこう」
すぐ近くで見ていた俺だが、本藤も気付かないようだし、ここは黙って立ち去ろうとした。
「公也ああああああ!!」
「っ」
俺の名前を叫ぶ本藤に、気付かれたのかと思い振り返った。
だが違うらしい。
「公也ああああ!」
俺の名前を呼ぶ度に本藤は壁を蹴り上げる。
ガシッと派手な音を立てているのが俺じゃなくてよかった。
ああ、よい子は真似しないように。
それにしてもなんなんだあいつは。
やはり俺を恨んでいるのか。
「公也あっ!公也がっ!好きなのっ!!」
……本藤
あいつはきっと俺がそばにいることに気付いていないから、あれはただ叫んでいるだけなのだろう。
今までの俺なら、笑ってばかにしていた。
だが、あいつはめげていないのか、そうでないのか。
わからないが、本藤は面白い。