超最強嫉妬彼女 前編-10
「うわああああん!」
本藤は泣き叫んでいる。
…ん?
まさか俺にボディーブローを叩き込んだのはこいつか!?
とんでもない威力だったぞ…
こいつ、体は小さくて華奢なのにどっからこんな力が出るんだ?
いや、そんなことを考えている暇はない。
「つ…」
未だに続く痛みをこらえて立ち上がる。
その時だった。
一度出払ったはずのクラスメイトが再び教室に入ってきたのだ。
「……」
おそらく皆、本藤が俺に告るのを察して出ていったが結果が気になるのか廊下で話が終わるのを待っていたらしい。
そこで泣き叫ぶ本藤の声を聞いて戻ってきたのだ。
「初めての告白だったのにいいい!うわああああん!」
初めての告白…
それを聞いて驚いたのは俺だけでなくクラスメイトも同様だったらしい。
途端に周りのやつらはひそひそと話を始めた。
「……ちっ」
相変わらず殴られた腹はズキズキと痛むが、それ以上にこの空気にイラついた。
俺は周囲に聞こえるよう舌打ちをして教室を出たのだった。
その後、教室の騒ぎがどうなったのかは知らないが、俺は本藤を抱けなかったことだけが心残りだった。