エリザベスドール2-1
あれから数十年以上の月日が過ぎた。
バーソロン家の屋敷は既になく、夫妻の行方も分からない。
人形のエリザベスは夫妻の元から離れ…
色んな経緯を得て…
今は、ロベカル市内のA骨董屋の陳列台に飾られていた。
今となっては古いタイプの人形だけど…
不思議な事に年代的な古さを感じさせない雰囲気を漂わせている。
身長は約80センチ前後ぐらい…
サラリとした金髪の長い髪…
やや小さめの、幼っぽい顔…
水色の色をした宝石のような眼…
キリリと引き締まった口元……
ちょっぴりアダルトな、スラリとした体型…
真っ赤なドレス風の衣装がよく似合う。
その美しい姿でエリザベスは、見る者全てを魅了させていた。
18歳の学生…ルーク・ハリーだってその1人である。
店を訪れたルークはエリザベス人形を見つけ…
さっそく、マスターに頼んだ。
「マスター、この人形を売って欲しいんだけど」
「構わないけど、この人形の事…どこで知ったのかね?」
「サイトだよサイト。
何十年も前に作られたのに、未だに古さを感じさせない立派な人形。
…って写真付きで紹介されていたんだよ」
「ヘェー、この人形はそんなに有名なのか。
ワシは知らんかった」
知らないのもムリはない。
一部のコレクターの間で話題になっているだけだし。
「ねえ、イイだろう?」
「ああ、構わんよ。安くしておこうじゃないか」
こうして、人形はルークの手に渡った。
マスターには何の価値も興味も無いエリザベス人形も…
人形やフィギュア集めを趣味とするルークにとっては宝物である。
モノが大きいだけでなく、美しい表情をしているのだから。
その愛らしい姿にルークを虜にしてしまった。