エリザベスドール-1
イーリス国きっての大富豪…アースル・バーソロンと妻のマーガレットには1人娘がいた。
名前はジーナと言い、とても可愛いくて気立ての良い女の子である。
だけど彼女は、生まれつき病弱の身。
その為か…
友達がいなくて、ずっと1人ぼっちだった。
だからいつも、人形のエリザベスを友達のように慕っていた。
一緒に遊んだり…
一緒に勉強やお話しをしたり…
ずっと、人形と共に生活をしていたのである。
17歳の冬、ジーナは大きな病に侵された。
しかも…
不運な事に、長くは生きられないと言う。
「私はもう、助からないのね」
ジーナ自身、自らの余命を感じていた。
私の運命…
絶対に逃れる事は出来ない定め…
でも私は…
死ぬ事なんて…
怖くはない。
17年と言う短い生涯だったけど…
とても幸せだった。
とても…
だから、何の悔いもない。
ないけど…
私の大切な宝物の事だけが気になる。
自分がいなくなれば、エリザベスが1人になってしまうだろう。
今後どうなってしまうのか、すっごく不安。
そこでジーナは両親に言った。
「お父様、お母様お願いがあるの」
「何だ?」
「エリザベスを、私だと思って大切にして欲しいの」
「何を心配しているのジーナ?」
マーガレットの問いに、ジーナは答える。