ハニードリッパー5-5
狭い浴室は海の家みたいだった。
さっと、シャワーを済ませたらケンちゃんは寝袋の上に横になり漫画を読んでいた。
薄い布団を敷いてギターを弾くムトウ君。
リタは今までいたソファから向かえ合わせの髭面ペンネさんが横になるソファに移動して二人仲良く寝ながら何か話していた。
淫乱な女なのだ…
もしかして昨日まで私のケイジにくっついて眠ってたんじゃないだろうか?
それとも毎晩交代で全員とセックスしたがるのかも知れない…
この女はそのための女なのだろうか?
そう思うと最初から私を連れて行きたがったケイジの気持ちってどうだろう?…
こんな女とヤルより私のがいいに決まってる。
……!
もしかして…
ケイジはみんなが眠る横で私を抱くつもり?
ここには私のベッドもなさそうだし…
この連中なら隣でセックスしてても平気で眠っていかねない。
[ これでも使えよ
ミキ、かわいそうじゃん ]
ケンちゃんが毛布を数枚どこからか出してくれた。
ちゃんと毛布あるじゃない。
[ ちょっと… ]
ケイジはそれを機材の並んだ真ん中に敷いた。
私はケイジにまさかと思うけど、みんなの前でセックスする気?…と聞こうとした。
あまりに馬鹿馬鹿しくて聞かなかったが…
私自身がいくらなんでもそんな事考えてると思われるのが恥ずかしかったのだ。
誰がいうとなしに灯りが落とされて就寝時間となった。
かなり疲れているのに私は寝つけなかった。
[ ちょっと…ダメよ ]
当然のように隣で眠るケイジはまた私の胸を触る。
リタにはいい気味だけど、やっぱりここではヤレない。
みんなが眠る真ん中にいるんだから…
そのリタは自分のソファに戻ったかどうかここからは見えないけど、ペンネさんとセックスしてるわけでもなさそうだった。
黒革のソファの背中だけが暗闇にうっすら見える。