心霊ファイル…怨み5-3
光の放射は続いた。
霊が改心するのも、時間の問題だろう。
もしかしたら…
この騒動も、意外と早く幕引きになるかもしれない。
私は少し、期待が持てるようになった。
それはイイんだけど!
私たちは夢中で仁美さんを押さえているから、すっごく疲れちゃう!
手なんか痺れてしまうし!
「あ!」
歩美さんが声上げた。
うっかりして、手を離してしまったのだ。
仁美さんは私たちを押しのけて部屋を飛び出して行った!
杏里が後を追う!
逃げるようにして廊下を走る仁美さん。
階段を駆け下りて行く途中、足を踏み外して下まで転げ落ちてしまう。
ドタドタ!
階段での大きな物音に、真澄さんたちが振り返った。
階段の上り口で仁美さんが倒れているのにビックリ!
「仁美ッ!?」
真っ先に駆け寄ったのは真澄さん。
「大丈夫! 気を失っているだけですから!」
杏里から2階から降りて来て説明する。
様子を見に来た友里恵姉さんに促されるようにして、真澄さんは仁美さんを抱きかかえて和室に寝かせた。
仁美さんに憑依していた霊が初めて姿を見せたのはこの直後だった。
着物を着たざんばら髪の年配の男…
戸村弦太郎さんかな?
全身キズだらけで、顔は血まみれ。
白目をむいた表情は、断末魔の苦痛そのもの。
怨念に満ちた思いが表情に現れている。
友里恵姉さんが指をソッとパチンと鳴らすと…
弦太郎さんの霊は金色の光の粒子に包まれた。
苦痛な表情が段々と穏やかになって行くのを誰もが目の当たりにした。
友里恵姉さんの思わぬ行動に杏里は呆気に取られている。