Lesson xxxU D-1
先生が私の不安を取り払ってくれたおかげで学校へ素直に行く気分になった。
南方先生にはどんな顔をして会えばいいのかは迷うところだったけど、授業以外で会う事はほぼないだろうし。
朝のホームルームで先生の顔を見て何だか安心した。
先生の言動で一喜一憂してる私って恥ずかしいけどかなり先生の事が好きなんだなぁって。
昼休み、友達と廊下を歩いていると南方先生がぼんやり窓から外を眺めてるとこに出くわしてしまった。
軽く会釈して行こうとしたら声をかけられてしまった。
「神崎さん。ちょっといい?」
内心かなり嫌だったけど仕方ない。
友達には先に行ってもらって南方先生の後を付いて行った。
「何か用ですか?」
周りに人の気配がしなくなったので先生に訪ねた。
「征也と付き合ってるのね」
それは事実だし先生の家にいたのを見られてるんだから今更否定しても意味がない。
「はい。それが何か?」
「私、あの日征也の家に泊まったの」
それは榊先生から聞いて知ってるけど本人から再度聞かされて気分いいはずない。
「榊先生から聞いてます」
「そう」
この人は一体何がしたいの?
大体、カレシの元カノに会うなんて精神衛生上よくないに決まってる。
笑って躱せるほど私はまだ大人じゃない。
「用件はそれだけですか?」
出来るなら早々にこの場を立ち去りたい。
返事もせずにまた窓の外を眺めている先生にこれ以上付き合う義理もない。
「用がないなら失礼します」
そう告げて踵を返した私の後ろから南方先生の声が追いかけてきた。
「私、征也と寝たわよ」
一瞬意味がわからなくて足を止めた。
え…?
それって…?
思わず振り返った私の目には勝ち誇った笑顔を浮かべている南方先生が映った。