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ふつう
【青春 恋愛小説】

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ふつう-第八話-2

「あのさ、これもヒップホップなの?」

「そうだね」

「でもなんか…ゴツくないっていうか…。なんだろ…悪そうじゃないっていうか。寧ろかわいいっていうか」

「ヒップホップ=悪そうなゴツイ人達の音楽なんてのは偏見なんすよ。国や地域、時代によって音も思想も服装も全然違うんだから。ちなみに今流してるのはカナダのヒップホップアーティストなんだけど、カナダのサスカトゥーンって辺りのアングラヒップホップなんかはポストロックとかの影響もあって、パツ子がイメージする“ヒップホップ”とはちょっと違うんだよ」

「カナダ!?」

「そう、カナダ」

「へーっ…。世界は広いし深いねぇ」

「そ。俺らが見てるのはそのほんの一部に過ぎないのよ」

「ふーん……」



まぁ、そうだよね。
私が知らないだけで、カナダにもヒップホップはあるだろうしなぁ。

てか私、ほんとに無知だな…。



「…あれ、鷹丸くんの服は?」

「あぁ、全部クローゼットの中。ほらっ」

「多くねっ!?」

「まぁ仮にも販売員だし、あと自分で作ったのも入れてるからね」

「あ、その作った服のパターンってやつが、壁のあれ?」

「そうそう。てかごめん、ジャージ着替えていい?」

「あ、どうぞどうぞ」

「悪いね」



と、いきなり脱ぎだす。
いや、ちょっと…。

しかし改めてみると体のタトゥー、凄い…。
迫力が…。



と、黒のタイトなタンクトップに、黒地で脇に白い3本ライン、太ももの辺りに“Y-3”って書いてあるワイドなジャージ姿に。
部屋着なんだろうけど、これすらお洒落に見える。

腕のタトゥーまる見えだし…。


「あ、何か飲む?俺下からコーヒー取って来るけど」

「あ、じゃあ冷たいお茶とかある?」

「うん。ちょっと待ってて」



部屋には私一人。

ちょっと、パターンってやつ見てみますか。


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