秘密〜それぞれの想い〜-1
「え?陸別れたの?」
そう聞いたのは、部長のみー先輩。
「うん。
『まだ別れたくない。もう少し付き合って。そうすれば、また私のこと好きになるかもしれないでしょ?』
な〜んて言われたけど、これ以上付き合ってても、お互い辛いだけだからって」
けろりとしている陸先輩。
「そっかぁ、陸の話聞いてると、結構重たい子みたいだったから、良かったのかな?」
今日は私、澤井夏実(さわい なつみ)が所属してる写真部の活動日。
ただ今部員皆で庭に出て、木陰でランチ中。
何でも昨日、1コ上の陸先輩は彼女さんと別れたんだとか。
「身も心も、今日の天気のようにすっきり晴ればれ〜♪」
陸先輩は嬉しそうだ。
いくら冷めていたからって、別れてこんな元気だなんて。
昨日の今日でしょ?
私が怪訝な顔をしていると
「アイツ、別れたばっかだってのに、みょ〜に元気だと思わない?」
私にそう耳打ちしてきたのは、陸先輩と中学からの親友、まぁ先輩。
私がコクンと頷くと
「そういう時程、悲しんでる時なんだ」
私が驚いた顔をすると
「面倒くさいヤツだろ?」
そう言って、まぁ先輩は笑った。
「じゃあ陸先輩、前に言ってた浮気相手って人と付き合うんですか?
そう聞いたのは、私の友達のえみ。
(そういえば、陸先輩の浮気相手って人、彼氏がいたような…)
「いんや、彼氏と寄り戻ったらしい」
「可哀想に、振られてしまったんですね〜」
まぁ先輩は、おいおいと泣くマネをした。
「さあ!傷付いている陸君を癒し、彼をゲットしよう♪」
「俺は商品か」
ベシッと陸先輩がまぁ先輩の後頭部を叩いた。
「でも、アンタのことだから、気になる子ぐらいいるんじゃないの?」
そう言って笑っているのはみー先輩。
「ん〜恋愛対象としてって訳じゃないけど、普通に仲良くなりたいなぁって思ってる子はいますよ」
「マジ?誰?」
まぁ先輩が聞いた。
「それは、言えないな〜」
「言えないってことは、俺たちが知ってる人?」
「そうとは限らない」
「なんだよそれ、教えろよ〜」
「ってか、まぁ、お前はどうなんだよ」