秘密〜それぞれの想い〜-4
「何で?」
「え?何でって言われても、そんな、好きな理由なんか知らないよ」
「そうじゃなくて、何でえみは、まぁ先輩がみー先輩を、みー先輩は陸先輩を好きだって思うの?」
「三人を見てて、そうかな?って」
私が、また『?』を浮かべていると
「ん〜とね、まぁ先輩、なんかみー先輩に、ワザと叩かれようとしてるかんじがするの。
そうすることで、自分を見て欲しい、自分に気を向けたがってる気がするんだ。
みー先輩は、いつも陸先輩を見てる。
私たちと楽しくお喋りしたり、まぁ先輩に突っ込んだりしてるけど、ふとした時、陸先輩を見てる。
だから、まぁ先輩はみー先輩を、みー先輩は陸先輩を好きなのかな?って思ったの」
「…私、全然気付かなかっ…」
えみはふふっと笑い、次に顔を曇らせた。
「気になるのは、今日の会話で、まぁ先輩が、陸先輩をものにするなら今がチャンス!っみたいなこと言ってたじゃない?」
「うん」
「それ、みー先輩に言ったのかな?」
「え?」
「まぁ先輩がそう言った時、私たちがフリーだって言う前だったでしょ?」
「…そういえば」
「まぁ先輩、みー先輩の気持ち知ってるのか?
知ってて、あえてみー先輩の恋、応援したのかな?」
「ん〜…どうだろ?」
「他にも、まぁ先輩がフリーだって話になって、陸先輩がみー先輩に、後輩にも人気あるみたいですよって言ってたの。
なんかそれって、さりげなくみー先輩にまぁ先輩を薦めてる感じがしない?」
「ん〜…」
「みー先輩は、まぁ先輩に、可愛い年下の彼女出来るかもねっなんて言ってたけど…
もしかして三人共、それぞれの気持ち知ってるのかな?
知ってて、あんなこと言いあったのかな?」
「…どうなんだろう…
もしそうなら、切ないね。
自分の気持ち、相手に受け入れてもらえないのを知りつつ、また相手の気持ちを受け入れることも出来ないって言ってるわけでしょ?」
「…恋愛って、難しいね…」
『誰も傷つかない恋なんてない』
っふと、その言葉が思い浮かんだ。
そして、篤也の顔が浮かんだ。
好きな人に好きになって貰える。
なんて、幸せなことなんだろう。
この恋、大事にしたい。
強くそう思った。
「先輩たち、これからどうなるんだろうね?」
えみが呟いた。
「…まぁ先輩とみー先輩がくっつくとか?」
「それがいいと思うけど…そう上手くいくかな?」
「まぁ先輩の頑張り次第?」
そんな話をしつつ、私たちは午後の授業が始まる教室に入った。