投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

黒魔術師の恋愛事情
【青春 恋愛小説】

黒魔術師の恋愛事情の最初へ 黒魔術師の恋愛事情 3 黒魔術師の恋愛事情 5 黒魔術師の恋愛事情の最後へ

黒魔術師の恋愛事情〜発覚-2

『…惚れたな?』
「え?」
『何でもない。それよか明後日までに何とかすりゃいいんだろ?だったら明日中にそれ全部片付けりゃあいいことだろ?明日は俺も暇だし、手伝ってやるよ』
「え?マジでいいのか?」
『但し、明日までに自分の気持ちを整理しとけ。まだ迷ってんだろ?高坂のこと』
「…まぁな」
 真彦は軽くため息をついた。
『ったく…いいから今日はゆっくり考えとけ。また明日な』
「あぁ、ありがとな」
 真彦はそう言って電話を切った。
「気持ちを整理しろ…か」
 何でこんなにも焦っていたのだろうか?今まで全然知らなかった子なのに…その日初めて喋った子なのに…何故嫌われたくないのだろうか?まだ付き合い始めて数日しか経っていない。なのにこんなにも胸が苦しくなる。この気持ちは何なんだろうか…?
 真彦はその日、ずっとそのことばかりを考えていた。


 翌日。
「相変わらずこの部屋はおぞましいぜ…」
 黒魔術で統一された真彦の部屋を訪れた光輝の感想だ。
「夜うなされねぇのか?お前は」
「全然」
 真彦は平然と答えた。
「ま、とにかくだ。この部屋をよりまともにしようじゃないか。お前の恋路のためにな」
 光輝は真彦の肩を叩いた。
「分かってるよ…」
 二人は協力しながら部屋を片付け始めた。

「おいっ!何だ、この薄気味悪い人形は」
「呪術に使う人形だよ。こっちに頼む」
「うわ〜!!何かの黒焦げが出て来たぞ?!」
「あ、イモリの黒焼き…そこに有ったか」

 多少の困難はあったが。

 二時間かけて、やっとのことで片付けは終了した。
「あー怖かった…」
「ご苦労さん、そんでありがとな。ほれ、コーヒー」
 真彦は缶コーヒーを光輝に手渡した。
「…後で飲むわ。今は飲む気にならねぇ」
 光輝は苦笑いでコーヒーを受け取った。
「にしても、お前の部屋って黒魔術道具以外何もねぇな」
 片付けが終了した部屋は、シンプルとしか言いようが無い部屋となっていた。
「俺にはこれしか無かった…そんな時代があったからな」
「昔の話だろ?」
「まぁな。今は…新しい物が増えるかどうかってとこさ」
「頑張れよ。増えるようにさ」
「もちろん」
 真彦の昔の心の傷を知っている光輝。その傷も今は本人は引きずっていないことも光輝は知っていた。
「本当はさ、まだ彼女が好きかなんでちゃんと理解できでないけど…。いつか俺のこの秘密のことを知ってほしいと思ってんだ。でも今はそれが怖くて…逃げてんだよな、俺は」
「いいんじゃね?いつか話せば。それを受け入れてくれると思った時に話せばそれでさ」
「…そんなもんか?」
「…そんなもんさ」
 光輝が友人で良かったと、真彦はしんみりと思った。
「さて、俺は帰るよ。明日は頑張れよ」
「おうよ!」
 家を出て帰っていく光輝を見送りながら、真彦は心の中でありがとうと呟いた。


黒魔術師の恋愛事情の最初へ 黒魔術師の恋愛事情 3 黒魔術師の恋愛事情 5 黒魔術師の恋愛事情の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前