想-white&black-G-6
冷たい唇と熱い唇。
その温度差がなぜか悲しく思えて涙が一筋頬を濡らしていた。
そのまま床に押し倒された後、楓さんはいつもより乱暴に私を抱いた。
綺麗な見た目とは裏腹に彼の抱き方は強引で激しく、全てを支配しようとする。
だが今日は本当に身体が壊れそうな程抱き、欲望のまま私の中に精を吐いていった。
楓さんの瞳は相変わらず冷たいままだったが、それと反比例して繋がったところは熱く高ぶっていたことに少しほっとする自分がいた。
あれからベッドに移り身体を洗おうと行った浴室、ソファの上、また再びベッドと逃れることを許されず朝まで声が枯れるほど抱かれ続けた。
私はベッドの上で裸のまま力なく横たわり服を着る気力すら欠片もない。
きちんと整えられていたはずのシーツはしわくちゃに乱れている。
そんなベッドの横では楓さんが制服に着替えていた。
相当な体力を使っているはずなのに疲れたようすは微塵も見せていない。
「その身体では起き上がることすら辛いだろう。学校には俺から伝えておくから休むといい。戻ったらまた相手をしてやるからゆっくりしていろ」
制服を着終え、隙のない整った横顔が見えた。
陶器のような白磁の肌に漆黒の髪がよく映えて、まるでよくできた美術品のようだ。
「……………」
喉がからからでもう何も言葉なんか出なかったため返事をせずにいたが、楓さんはちらりと横目で私をとらえただけで気にした様子もない。
ただ心身共に疲れ果て、今にも深い眠りに引きずり込まれそうだった。
「俺が戻るまでいい子にして待っていろよ」
目を閉じていたら優しげな声でぼんやりとそんな言葉が聞こえ、大きな掌がゆっくりと愛おしそうに頭を撫でてくれている、そんな気がしたがきっと夢でも見いるのだろう。
ひどく心地よくていつまでもそうしていてほしいと思ったけれど、しばらくして夢の中の誰かはそっと私から離れてしまいそれがとても寂しかった。