想-white&black-G-5
「んっ……う」
再び唇を塞がれ、今度は先程よりも深くなる。
歯列を割られ舌を絡め捕られる。
思わずいつものようにぼうっとしてしまいそうになったが、身体を捩って逃げようと楓をさんの胸を押し返す。
だがそれはいとも簡単に力で制圧されてしまった。
何度となくしてきたはずのキスが苦しい。
ただ単に呼吸ができないほど深くて激しいだけではなく、心臓のあたりがぎゅっと苦しく感じるのだ。
それが一体何なのか私には分からなかったけれど。
「……んっ。かえ、で……さっ、やめ……ん、う」
本当に苦しくて、息がしたくて、手で胸を押しながら懇願するけどまるでびくともせず、私の抵抗なんか小さい子供のように簡単に押さえつけられてしまう。
「ふ……あっ」
身体がビクリと揺れた。
冷たい指が脇腹から胸の膨らみに滑り、掌に収められる。
「か、楓さんっ、ダメっ」
やっとのことで唇を離して、見上げたそこには楓さんの綺麗な歪んだ笑みがあった。
視線が至近距離でぶつかり、ぞくっと背筋が凍る。
「その身体に何度だって刻みつけてやるよ。"俺"を、な……」
すっと寄せられた唇が耳朶に微かに触れる距離で囁かれると、条件反射のごとく身体の内側がじんと熱を孕む。
「あ……」
零れ落ちた吐息に混じる声が上擦っている。
「ほら。いとも簡単に俺に反応する。他の男じゃ満足なんかできないだろう?」
そう言ってくすりと笑う声は楓さんの指が焦れったく乳首の周りに触れてくるせいで耳に入ってこなかった。
「や、あ……っ、んっ」
もっと強く確かな感覚が欲しくてたまらなくなる。
きっとそんな私を分かっていて彼はわざともどかしくしてくるのだ。
次第に高められていく身体はしっとりと汗を滲ませていく。
「だんだん熱っぽくなってきたみたいだな。肌も息も熱くさせて……。その唇も熱いのか?」
聞いていて恥ずかしくなるセリフをよく口にできるものだと思いつつ、それでもつい隠れるように俯いていると、そこをすくい上げるようにまた唇を重ねてきた。