心霊ファイル…怨み4-6
「おーいッ!! みーんな、どこに行ったァッ!?」
更に激しい物音!
私たち皆、緊張し出した。
歩美さんなんか、震え上がっている。
杏里は厳しい表情で2階へ上がって行った。
恐る恐る部屋のドアを開けてみる。
中は雑然としていた。
机やテレビ、チェスト類はひっくり返った状態になって足の踏み場もない状態である。
目を覚ました仁美さんはベッドの所で立っていた。
髪を振り乱し…
血走った怖い目で杏里を睨み付ける。
後ろの窓ガラスを素手で叩き割ったのかな?
両手は血だらけになったいた。
「よおォ! てっきり、尻尾を巻いて逃げたかと思ったぜ!」
鬼のような形相で不気味な笑みである。
杏里は毅然とした態度で、質問を始めた。
「仁美さんに憑依しているアナタ、いったい何者かしら?」
すると、相手は怪訝な表情で言った。
「テメェは礼儀って言うモノを知らねーのか?」
「何よォ?」
「名前を尋ねる時は、テメェから名乗るのが筋ってもんだろう?」
相手は、礼儀をわきまえているみたい。
「私は吉岡杏里…」
「跪けや」
「え?」
「俺様に話しをする時は、跪かんかい」
命令形のような言い草に杏里はカチンと来た。
「アナタにそんな、命令される筋合いはないんだけど?」
「テメェ、誰に口きいてんだコラァ?」
「下品で、ヤクザみたいなアナタによ」
相手を挑発させるような杏里の口調である。
「俺様はかつて、この地を治めた戸村弦太郎と言う者だ。領主だぞ?
そこら辺の下々のヤクザじゃねえ」
「その領主様がどうして、この人に取り憑いているのかしら?」
「コイツはな、俺たち戸村一族の命を取った静一族の1人なんだ」
「怨みを晴らす為に、憑依したのね?」
「おうよ、分かってるじゃねーか」
「アナタ、そんな事をやってイイと思っているのかしら? 罪になるよ」
「お互い様だろう?」
つづく