心霊ファイル…怨み4-4
「吉岡さん、これはいったい! 娘は、頭おかしくなったんですかッ!?」
「表情を…! よくご覧なりましたかッ!?」
「え?」
「仁美さんは…!
浮霊(ふれい)状態になったんですッ!」
「ふれい?」
「ずっと仁美さんの体に取り憑いていた霊が、浮き出て来たんです!」
「まさか!」
真澄さんは信じられない気持ちだった。
しかし現実に、仁美さんは浮霊している。
彼女の体内に宿り…
脳の霊細胞を扱い回して、心や体を蝕んでいた第三者が浮き出て来たのだ。
姿は分からないけど、仁美さんの声を使って喋り出した事から…。
霊はそこに存在しているのが分かる。
「お母さんッ!?」
歩美さんが急に声を上げた。
振り返った私たちはビックリ!
病院にいるハズのルリ子さんが、そこにいたのだ。
顔は少しやつれているけれど…
杖を付いて、シッカリと立っている。
何と、友里恵姉さんがルリ子さんを連れて来たらしい。
「ルリ子、お前いったいどうして?」
奥さんの思いがけない帰宅に、真澄さんは驚くばかりである。
「奥さんの強い希望で、病院側の許可を取ってお連れしました」
友里恵姉さんがワケを詳しく説明した。
仁美さんの事が気になっていたルリ子さん…
見舞いに訪れた友里恵姉さんに連れて帰って欲しいとせがんだ。
そこで友里恵姉さんは、柳沢家の親戚で不幸が起きたと言う理由を付けて病院側から外出許可を取り付け…
ルリ子さんを自宅まで連れて来たって言うワケだ。
なるほど…。
「杏里さん、仁美はどうなったのかしら?」
ルリ子さんはずっと、仁美さんの事を気にかけていた。
「大丈夫、仁美さんは気を失っているだけですから」
首を手で押さえたまま、杏里は答える。
グッタリとなったままの仁美さんは自分の部屋のベッドに寝かされた。
ルリ子さんは仁美さんの傍にいて、頬を手で撫でた。
この後、1階食堂でルリ子さんと語り合った。