ハニードリッパー3-1
とっても楽しみにして出かけたのに悲しい気持ちで帰ってきた事…
今まで何度あっただろう?…
リタに負けそうだから逃げ帰った自分が許せないでいた。
[ どうしたんだよ?
大丈夫か? ]
ケイジの声は途切れ途切れだった。
[ ううん…何でもないから… ]
時計を見るともうすぐ2時になる。
リタはそばにいるの?
それとも、帰っちゃったの?
セックス済ませちゃうにはじゅうぶんな時間だもんね…
いろんな事が胸の中から溢れそうになるけれど、私にはそのわずかさえも口に出して言えなかった。
初めてケイジのライブを見に行った時、なんとなく虚しい気持ちに気がついてトボトボ帰る私をケイジは追いかけて来てくれた。
抱いてくれなければ私は今と同じような気分になってたかも知れない。
[ 会えねえ?
ちょっとだけ… ]
電話の向こう…
サーっというノイズが聞こえていた。
[ もう遅いし… ]
変なの…
私はケイジの優しさに腹を立てているのだろうか?
何でも話し合えたケイジ。
お風呂もご飯も寝るのも一緒だった。
私たち…オトナになっちゃったのよね。
[ 待って…やっぱり会う ]
[ うん…じゃあ行くよ ]
[ ねえ… ]
[ リタとセックスした? ]
[ いつ?… ]
いつの事を聞いてるんじゃないわよ。
今日よ今日…
[ もう言わないからリタより私の事が好きって言って ]
一言こぼれ落ちたら私は言いたい放題だった。
[ とにかく…すぐ行くよ ]
[ ダメよ…ケイジの顔見て聞けないの
ケイジが好きなのよ
リタなんかに負けたくないっ! ]
ケイジはしばらく黙っていたが
[ …勝ち負けとかじゃねぇと思うけどな ]
こんなにドキドキしてるのに何を言ってるのよ?
今のケイジにはヤキモチ妬きの女なんか似合わないのかな…