手紙 〜side 恵〜-5
「おい」
「な、なーに?」
「…お前、腹一杯なのか?」
「え!なんで?すっごくぺこぺこだよー!」
「いや、もう食えないっつってたぞ」
「ええ!お腹すいたよ〜!!」
「しゃーねーなぁ、ニラ玉、食うか?」
「ニラ玉!?」
ニラ玉、その言葉を聞いた途端、目を輝かせるミュウ。
…ほんと、単純なやつ。
「ぷへー、お腹いっぱい!」
そういいながら、満足そうにお腹をさするミュウ。
あれから、すぐ、二人でニラ玉を食った。
今度は食いっぱぐれないように、ニラ玉に集中して。
一息ついてから、ちょいちょい、と、手招きをして、ミュウを呼び寄せる。
ギュッと抱きしめて、唇を寄せようとすると、そっとミュウが囁いてきた。
「…けーちゃん、あたし、ニラくさ、だよ?」
「うっせ、いいんだよ、感謝のチューだろ?」
「んんっ!」
まだ何かを訴えたそうな顔をしてたけれど、知らん顔して、唇に噛みつくようにキスしてやった。
不満なんて聞かねー。
「ぷはっ!けーちゃん、プリン…んんっ!」
なんか、プリンとか、そんな単語が聞こえたけれど、無視。
くたっとなって、目を潤ませているミュウを抱きかかえて、ベッドに強制連行する。
「心配すんな、買ってきてやるし、後で、俺のプリンも半分やっから、さ」
「…なんだか、すごーく後になりそうな予感…」
そう、ポーッとしながら、ミュウはぽつりと呟いた。
なぁ、ミュウ。
お前はさ、心配なんかしなくていいんだ。
ずっと、俺の傍にいるんだよ、ばあさんになるまでさ。
俺の分のプリンは、いつだってお前に半分くれてやる。
一人で、そんな想像して、一生懸命に俺のために手紙を書くミュウ。
ばかじゃねぇのって、思うと同時に、すげぇ愛しく思う。
涙もろくて、感動屋で、食いしん坊で、素直な彼女。
―そんな心配なんて、できなくなるほど、愛を注いでやるよ。
「恵ちゃん、大好き…」
降り注ぐキスの雨にとろけているのか、そう、譫言のように繰り返しているミュウ。
そんな彼女に聞こえるよう、耳元で俺は、最大級に愛を囁く。
「ばーか、…美優、すっげぇ、愛してる」