手紙 〜side 恵〜-3
「グスッ」
「まーだ、泣いてんのかよ」
「らっでぇ〜がなじいんらもん…」
あれから、プリンを食って、ミュウが持ってきたDVDを観賞した。
内容はまぁ、よくある恋愛映画。
人の恋愛なんて見たって、ひとっつも面白くもねーのな。
ーまぁ、そう言いつつも、なんだかんだで一緒に観てる俺は、そうとうミュウに甘いと思う。
「ねー恵ちゃん」
「あ?」
「恵ちゃんはさ、もし、あたしが死んじゃったりしたら、悲しい?」
まだ、映画の余韻が残っているのか、うっすらとミュウの瞳は潤んでいて。
「…あのな、俺がそういうもしも話、嫌いなの知ってるだろ」
「そうだけどさ、恵ちゃんは考えたりしないの?」
「もしもなんて考えるだけ無駄だ」
「そうかなぁ」
「そんなことに囚われて、今を見失ったりしたら嫌だろ」
「うーん」
「だから、もしもでも、お前が死ぬとか、考えんな」
「…うん」
そんな話をしてから、少し経ったくらいだと思う。
いつものように、ミュウは俺の家に入り浸っていて。
その日は大切な講義のレポートに追われていて、あまり相手にはしてやれなかった。
俺がパソコンにむかう、その横にしゃがみ込んできては、やたらと話しかけてくる。
たしか、昔も、よくこんな風にミュウは、俺の席の横にしゃがみ込んでたっけな。
そんな事を思いながらも、必死にレポートをこなす。
最初は、やたらと俺にちょっかいを掛けてきていたミュウも、今ではすっかり大人しい。
…随分静かだな。
あいつ、俺のプリンを半分奪って満足しやがったな。
パソコンで疲れ切った目を押さえながら、ミュウを捜す為、立ち上がる。
さっきまで、恵ちゃん恵ちゃんと煩かったそいつは、案外簡単に見つかった。
起こさないように、細心の注意をはらって近寄る。
俺のベッドで丸まっているミュウの傍には、手帳と一つの紙。