由里子と先生4-6
『由里子が俺のこと心配して来てくれたのは解るよ。でもな、お前のその無防備さが、俺にそう言わせてるんだよ。』
急にそんなことを言われても、由里子は絶対にイヤだった。
由里子は、怖くて、悲しくて泣きだしそうだった。
そんな時…。
『由里子、冗談だよ、冗談っ!』
佐々が由里子の顔を覗き込むようにして、腰をポンポンッと軽くたたいた。
由里子は今までの恐怖と緊張の糸がプツンッと切れ、ウワッと泣きだした。
あとからあとから涙が溢れ、由里子の頬を伝い流れた。
『何だよ、そんなこと本気にすんなよ!俺が由里子をどんだけ大事にしてるか、解るだろ。もうすぐ付き合って8ヵ月も経つって言うのに、俺たちヤッてないんだぜ。』
「解ってるよ…解ってる。」
由里子はすすり上げながら、何度もうなづく。
佐々が由里子を想う優しさ…。
佐々が由里子対しての欲望と闘う姿…。
由里子は目の前で見ている自分の方が辛くなり、何度身体を差し出そうと思ったことか…。
由里子は佐々の言葉を聞いたあとでも、色々な感情が複雑にからまり、瞳から溢れる涙を止めることができない。
佐々がジャージの袖で由里子の涙を拭い、そっと胸に抱いた。
『ごめんな、由里子。俺、いつもお前を泣かせてる。』
そう言うと、佐々は由里子髪を何度も撫でた。
由里子が卒業するまでは、一線を超えないように…と2人で決めた約束だった。