由里子と先生4-3
病気の為、少しやつれてはいるが、着ているもののせいもあるのか、佐々は28才には見えず若々しい。
佐々は、授業を抜けてきた由里子をたしなめるような顔をしていて、ちょっと怖い。
『何って…。心配で来ちゃったんだよ。』
由里子は佐々の冷たい反応にフワッと涙が溢れた。
そんな由里子を素通りすると、ジャージのポケットからジャラジャラと鍵の束を取出し、部屋のドアを開けた。
『入れよ。』
「いいの?」
由里子の声が涙のせいでくぐもっている。
『バカ…心配して来た自分の女を、追い返す訳にいかねぇだろが…。』
そう言って佐々は由里子を部屋に入れると、持っていたコンビニ袋を床に落とし、突然両腕で由里子を抱きしめた。
「せ…先生?…んっ?」
いつもとは様子が違う。
由里子は佐々の身体から伝わってくる、異常な熱の発散に動揺を隠せない。
「先生?スゴイ熱だよ!すぐ横にならなきゃ…。」
佐々は『うんうん。』とうなづくばかりで、由里子にもたれかかったまま動かない。
由里子はやっとのことで、佐々の身体を支えながら部屋に入り、ベットに寝かせた。
佐々は高熱の為、顔が上気し、口からはハァハァと熱い息を吐いている。
由里子は慌てて台所に行くと、氷水の用意をし佐々のおでこを冷やした。