ネコ系女 #5-2
「え、てことはあんた…」
見えかけている『答え』を確認するのが怖い。必死で思考回路をくねらせていたけれど、それも限界のようだ。
私の口が勝手に言葉を紡ぐ。
やめてやめて、私の口!
「あんた、私を返すつもりは鼻から無かったの?」
【ネコ系女はあくまで脳と口は別物】
あぁ、聞いてしまった。
へこむ私とは対照的に、当の本人はスッキリするほどの笑顔で思い切り
「ウンッ!」
と頷いた。
「……」
言葉が見つからない。
頬の筋肉が痙攣しているのが分かる。
そして物凄く、もんのすっごぉくムカツク。
「…はぁっ!もういいっ」
知らず知らずに掴んでいたタマの胸ぐらを離す。
ムカつき過ぎてムカつきメーターが振り切ってしまった。
燃え尽きた私は、荒々しくケータイを手に取り顎髭に電話を掛ける。
『あ、もしもし!?朝希ちゃんっ!?今どこにいん』
「ご、ごめんね!弟が部活中に倒れちゃったの!私、弟が心配で心配で…」
「ええええぇぇーっ!?!?」
タマが大声を上げたので私は口に人差し指を当てて、睨んだ。
タマが口を両手で押さえた時にはもう遅い。
『今の声なんだよ!?』
「お、おとお父さん!大丈夫!哲希死んでないから!そんな驚かないで!…ご、ごめんね、お父さんたら早とちりしちゃって」
『…え?お父さん?そうなの?つぅか本当に弟さん倒れたの?』
「実は私の弟、小さい時から体が弱くて無理して部活してるの…。本当は止められてるんだけど、どうしてもやりたいって訊かなくて」
『…へぇ、そうなんだ』
「サッカーが大好きでね、サッカーしてる時の弟はキラキラしてるの。そんな姿見たら辞めろだなんて…とても…」
『そっか。良い家族だな。つぅか弟さん大丈夫?』
「分からない、まだ意識が戻らなくて…私、このまま付き添ってたいの!」
『お、おぉ。そうしてやんなよ、朝希ちゃんは優しいな』
「本当にごめん。この埋め合わせは必ずするから…」
『分かった、連絡待ってる。じゃあ』
「うん、それじゃ…」
ピッと電話を切る。
フン、バカめ。